父のアルバム
ある時から、父は、旅行に行くようになった。
毎年恒例の行事として。
そして、引率者として。
その旅行の写真を、アルバムにしていた。
そんなマメな事しない人なのに、珍しい事だった。
思い入れが強い旅行なのは、わかってたけど。
父がなくなって、整理しなければいけない遺品は私の家にやってきた。
アルバムが20冊以上もあった。
とりあえず父の写真だけ残す作業に取り掛かった。
10時過ぎから始め、15時を過ぎた頃、なんか疲れを感じてきたので、和室に移動して、また作業を始めた。
喉が痛くなってきたので、写真にも年季の入った埃がついてたんだろうなと思っても、まだ続けてた。
マスクすればよかったのかな。
アルバムには、父のもう一度行きたいと思い続けた北の国の景色が続く。
私はそれらを非情にも剥がして破っていた。
ふと気づいたら、外は暗くなり、あと8冊を残して、片付けをやめる事にした。
疲れてたので、夕食を作る前に一眠りをする事にした。
何時間か眠って目覚めたとき、熱っぽかったので、測ってみると、なんと38度。
それから、一週間、会社に出ながらも早く治そうと病院に行く事3回。
熱から喉の痛み、咳、頭痛。
なんとか、一週間で治ったものの、なんだったんだろうと・・・。
それから、怖くて残りのアルバムは2年経った今もそのままにしている。
きっと、父が悲しんだんだと思う。
そんなにびりびりに破らなくてもいいだろう。
せっかく作ったアルバムなのに、もう少し大切に扱って欲しい。
きっと、そう思ってたのに違いない。
断捨離を始めた私はいつか残りのアルバムの整理をしなければいけない。
今度は、びりびりに破るのはやめよう。
父の写真だけそっと剥がそう。
皆さんはなくなった身内の方が大切にしてた写真はどうしてますか?